現代アニメ批評−アニメをさらにおもしろく−

現代アニメのストーリー面を主に批評していくブログです。自分の着想や視角をアニメーションをよりおもしろく観る「補助線」として書き綴っていきます。

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ささめきこと 第13話:百合というつながりと携帯のつながり

■今年は「百合」アニメが熱かった年だった。その中で先日、最終回を迎えたのが『ささめきこと』である。毎回、登場人物たちの心情の機微を繊細に描いた良作であったことは確かだ。今回は、最終回だけを取り上げて「百合」の本質というか、携帯時代のコミュニケーションをあり方を考えてみたい

■主人公純夏が田舎に旅行に行ってしまう。いつもは携帯で意中の汐とコミュニケーションを取っていたので、連絡がつかなくなってしまう。そんな中で「失われたモノ=この場合は日常の何気ない会話」に二人(特に汐)が気づくことで、二人の間は微妙ながらも接近するという終わり方だ。二人の関係性についての物語としては美しい終わり方であった。

■しかし、ここでいわばダシにされているのが、田舎のコミュニケーションと都会の雑踏である。どちらも、つながりたい相手とつながっていなければただのノイズだといえる。しかし、田舎のコミュニティ、コミュニケーション描写が胸つきささるくらい痛いのだ。それは都会と異なり、いわば話しかけてくる相手を無視している純夏がいることだ。

■最近の物語における携帯の役割に注目していたので、ここでは、ある問題性にぶちあたる。ネットや携帯コミュニケーションを通じて、新たな共同体や人間関係が模索されている昨今、村八分という排除を機能させない透明化されたコミュニティが志向されている。しかし、携帯やネットはやはり目の前の人物からの語りかけをすっとばして、つながりたい相手だけとつながるという作用を持っていることは無視できないのではないか。

■倉田監督は、今回の最終回で、純粋な二人の関係を携帯をクローズアップすることで強調したが、同時にみんながつながりたい相手だけとつながっていくという社会性を問題にしたと考えるのは、考えすぎだろうか。

テーマ:ささめきこと - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/12/31(木) 05:30:11|
  2. ささめきこと
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『けいおん!』への相似をどう活かすか?:ソ・ラ・ノ・ヲ・トのPV



■各所で『けいおん!』への類似を指摘されているアニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』(2010年1月よりスタート)だが、アニメノチカラという新プロジェクト、つまり、マンガや小説原作をもたない「オリジナル」アニメを作る試みである点に注意しながら、今後の期待を書きこみたい(往々にして期待外れになるが…)。

■アニメーションはもともと剽窃、パロディを主軸としながら表現の様式をひろげてきた。その中で、『ソラノオト』が『けいおん!』に似ていようとも、逆にその差異に注目する方が建設的なのではないか。たとえば、本作は戦争(もしくは戦後の荒廃)をテーマとしている。この点で『けいおん!』とは違った表現の可能性が開かれているし、『けいおん!』をオリジナルとしつつも、そのメッセージの明確化や差異化がおこなわれていけば、物語重視の視聴者にとっては、それでOKなのではないだろうか。
  1. 2009/12/28(月) 08:44:32|
  2. 戦争とアニメ
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『君に届け』:私たちはこの地点から語りかける

『君に届け』(2009年11月現在放送中)

■『君に届け』ではキャラクターの聖性がまぶしい。さわこ(さだこ)がその究極系のマリアとして君臨するが、他の主要登場人物も聖なるオーラを帯びているのだ。

■この「聖性」は何か?これを考えたときに、『君に届け』がさだこという極端に他人とコミュニケーションをせずに育ってきたという設定が与えられていることに注目したい。つまり、さだこは高校生という設定だが、実際は小学校に入りたての子供程度のコミュニケーション経験しかないという設定である。

■これはつまり、「こうすればわかりあえる」、もしくはその一歩が踏み出せるということを『君に届け』が戯画的に描いているということなのだ。そこにはさだこの聖性、そして他者への信頼感などなど、保育所か小学生低学年がもっているコミュニケーションの無垢さが表現されている。本作が人気を博しているのも、この点、つまり、複雑化して「空気などを読まねばならない」社会に対して、『君に届け』は過去に誰もが経験したであろう「聖なるひととき」を再現し、再度繰り返している点にあるのだろう。

テーマ:アニメ - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/11/26(木) 02:38:12|
  2. 君に届け
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クラナドは人生(1)

『CLANNAD』(※After Storyは未視聴)

■「クラナドは人生」という言葉がある。(参照:http://d.hatena.ne.jp/keyword/CLANNAD%A4%CF%BF%CD%C0%B8)クラナドのジャンルを問われたときに2ちゃんねるで出てきた言葉らしい。ジャンルが「人生」というのもすさまじいが、この言葉にはインパクトがあったのと同時にやはりどこかでクラナドファンに響くものがあったということだろう。

■今まで、クラナドはTVシリーズ時にしても長続きせず、何度も観るのをやめてしまった作品だ。しかし、最近、クラナドを絶賛するサイトにぶち当たることが多くて、気になっていた。そんなに印象的な作品なのかといぶかしい気持ちで見てみたが、やはり、まだその絶賛の理由を理解できたとは言い難い。自身に、なんらかの読みとる能力が欠如している可能性がある。

■ここで、試論的に『クラナド』を突き放した感じで、現時点での一般的な「『クラナド』・愛」への考え方を示したい。まず、『クラナド』は「泣きゲー」と呼ばれるゲームであった点に注目する。つまり、ゲーム上ではプレイヤーが主人公となり、その世界に没入する構造を持っており、アニメ・クラナドも男性であれば、いわば主人公を通じて、物語に没入可能な演出を行う。もちろん、主人公を通じてだけではなく、この作品自体が「学校」を舞台としたアニメ作品に多いような、物語との距離感の近い作品である。たとえば、物語との距離感が遠いとは、たとえば、シリアスな設定で主人公に没入する余地が少ない作品をさす。有名どころでは、『攻殻機動隊』などだろうか。ふつうは、少佐やバトーになりたいとはあまり思わないのではないか。

■次にクラナドには「適度な」痛みと温かみがある。「適度」と書いたことは、誤解を生むかもしれないが、これこそフィクションの妙であり、「痛み」は家族の問題などへのリアルさを伴い、「温かみ」も家族といった身近なテーマを扱う。しかし、ハーレム状態、幽霊、主人公の強さなどは、かなりフィクション世界への欲望を刺激するものだ。このバランス感覚こそが、アニオタして「クラナドは人生」と言わせしめたのではないかと考える。


テーマ:アニメ - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/10/30(金) 02:08:30|
  2. 伝えようとするアニメ
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『君に届け』:アニメ表現の陳腐化を乗り越える試みか?

『夏のあらし! 春夏冬中』、『君に届け』(ともに第2話まで)

■今季アニメは、予想通りか二つの大きな要因から、アニメ作品の陳腐化が深刻化した。アニメーション自体が、「模倣」によってドラマを再生産する様式をもっている。その際に、欲望を刺激する表現の再生産がもっとも楽な再生産形態である。表現の陳腐化(過剰な萌えキャラの氾濫や謎の性描写)は、まずこのことを原因としている。

■次に、アニメ作品は構造的に製作費とは無関係に語ることができず、おりからの不況などに起因して、作品の絵自体が低下し、またストーリーの質自体も低下しているのだ。

■そんな中で、『夏のあらし!』は前作に引き続き、表現の限界を目指しつつ、「あきさせない」作りを追及している。これについては、後日、記したい。今回注目したいのは、『君に届け』である。

■主人公の極端なズレは聖女的であり、「独りマリみて」ともいえる魅力を持っている。このズレが本作では重要であり、これによって視聴者は自分自身も「さわこ」を通じて、カタルシスを感じるのである。また、「主人公たち」も、さわこと同様の聖なるベクトルに向いているキャラでもある。

■性ではなく、聖を用いたことで、本作は今季アニメの中でも際立った存在感を見せている。



  1. 2009/10/14(水) 02:05:16|
  2. 伝えようとするアニメ
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Author:anicri
批評によって「アニメをより面白く」がモットーです。
色んな角度からアニメを観る試みをしたいと思っています。

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