現代アニメ批評-アニメをさらにおもしろく-

現代アニメのストーリー面を主に批評していくブログです。自分の着想や視角をアニメーションをよりおもしろく観る「補助線」として書き綴っていきます。

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『まりあ✝ほりっく』:ものすごいメッセージ

『まりあ✝ほりっく』(新房昭之、テレビ東京系列など、2009.1-3)

■『まりあ✝ほりっく』(以下、『まりほり』)は、マンガ原作で気鋭の新房監督アニメだ。その独特な脚色で有名なこの監督だが、本作も「見せる、魅せる」ことに徹底した演出であった。

■ここで一番注目したいのは、オープニング曲「Hanaji」の演出である。曲の勢いもカッコ良くて(シャッフルリズム)いい感じだが、OP中に流される画像とメッセージと歌詞の関係に特に注目したい。

■歌詞は主人公、宮前かなこ(百合趣味、もっといえば同性愛者)の気持ちをストレートに歌詞に載せ、アニメ主題歌としては王道を行くくらいの立派なものだ。OP動画中には、ある語句がフラッシュして何度も映し出される。例えば、まず、"Life is Beautiful. Flower is Beautiful"という表現。花は、「百合趣味」「女性」などを示し、それが生きることが素晴らしいにつながり、"No More War""Love and Peace"のメッセージで非戦を歌う。実はすべてはつながっていて、百合趣味、レズビアンでもそれは生き方として肯定され、また、その勢いで戦争「なんか」も吹き飛ばしているのである。※もちろん、かなこと鞠也の「戦争」も表現しているわけだが。あと、H→Sketch→One Touchも懐かしい。

■くそ真面目に「生き死に=戦争」を語るのではなく、「好きなものは仕方ないでしょ、それを楽しく肯定して生きていけばいいじゃん」という、サブカル的な立場のメッセージが放たれている。こういう明るさは現代日本の平和運動や女性解放運動に残っているだろうか?1968年前後の学生運動やその後のウーマンリブでも、ジョン・レノンたちが歌で「平和」をうたったことには言葉を超えた何かがあったのに、すでにそれを忘れ去っているのではないか、などと語っているようだ。

■このようにカウンターカルチャーを用いた強烈な批判は、おそらく製作者サイドの意図したものだろう。また、この意味でも、アニメという表現を通じて『まりほり』は一段と深まっている良作である。、これは新房監督の現在監督作品『夏のあらしっ』にも色濃く映し出されている。この作品についてはまた考えたい。





まりあ†ほりっく OP(2話から)

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テーマ:まりあ†ほりっく - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/04/29(水) 02:20:24|
  2. 戦争とアニメ
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戦場のヴァルキュリア:「戦場」の中途半端

『戦場のヴァルキュリア』(山本靖貴、TBS/テレビ東京系列、2009.4-)(第二話まで、※2009.6.16追記)

■『戦場のヴァルキュリア』は、ヨーロッパをモチーフとした世界の戦争ものアニメである。時代的には戦車と銃兵が活躍するので19世紀以前の民兵(ミリシア)の要素と、機械戦争化した第一次大戦のミックスといった感じだ。

■全体的にのっぺりとした印象がする画面とストーリー。まるで勧善懲悪の少年マンガをハイクオリティな画像で見せられている気味悪さを感じる。それは、「戦場の・・・」と題しながらも戦場のリアルを全く無視しており、戦場という空間を描けていない。

■クリントイーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』では、「パン屋が戦争に行くようになったら、(その社会)は終わりだ」というメッセージが放たれていたが、本作品ではまさにパン屋が民兵として戦地に赴く、まさに「崩壊社会」なはずなのだ。しかし、その悲惨さや不気味さは暗喩としても今のところ登場せずに、みなが「(必死だが)のんきに戦争」をしているのである。しかも戦闘機などの機械兵器だけによる現代戦なら少しは理解できるが、基本的には銃撃戦を展開するようだ。血と肉が飛び散る戦場であるはずなのに、そこを全く描かないことは、この作品の不気味さなのである。さらに、下手に画面の質が高いだけにより不気味さを増している。

■ここで言いたいことは、どこぞのPTAのごとく、アニメで戦争をクリーンに描きそれを助長するような作品を禁じろという主張ではない。アニメはフィクションなのは当然のことだ。そうではなくて、戦場のリアルさを明に暗にどう表現するかは、個人的にはその作品テーマと不可分なその質自体を決定すると考える。ゆえにこの観点から本作品は非常に低レベルであり、こう言う幼稚な描き方をするならば、むしろ『ストライクウイッチーズ』みたいな表現にするか、正義のために戦うヒーローといったジャンプ漫画的モチーフでよかったのではないか。


テーマ:戦場のヴァルキュリア - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/04/26(日) 16:38:16|
  2. 戦争とアニメ
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『ハチミツとクローバー』(2):竹本祐太の青春

『ハチミツとクローバー』 (カサヰケンイチ監督、フジテレビ系列、2005.4-9)
『ハチミツとクローバーII』(長井龍雪監督、フジテレビ系列、2006.6-9)

★ハチクロの青春論をもう少し考えてみる。

■さらにメモを続ける。
主人公、竹本祐太は、自転車で日本北端を目指すことで自分探しを終えた。しかし、彼の旅は当然ながらそこで終わりではなく、途中で時社の修復師を二回通過することで、さらにその向こうの仕事場としての修復師へのステップとして表現されている。

■本アニメは、現代の若者に対してのメッセージ「下を見て一歩一歩が大切」「とにかく働け」などを表現している。だが、いわばその「生きづらさ」へのメッセージをギャグや明るい場面、また研究室の共同体という温かいコミュニティによって補完している。

■この作品はこれで竹本祐太の青春の行く末を描かずに余韻を残しつつ、ほろ苦く終わっていくわけだ。ここまでが本作品の限界、つまり青春の終焉であったのかもしれない。
Cf. 青春後を描いた『げんしけん2』




テーマ:ハチミツとクローバー - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/04/26(日) 00:50:14|
  2. ハチミツとクローバー
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『シャングリ・ラ』:アニメの中で分断される世界

シャングリ・ラ』(別所誠人、テレビ東京系など、2009.4-)、『バスカッシュ』(板垣伸(河森正治原作)、TBS系、2009.4-)、『カイバ』(湯浅政明、WOWOW、2008.4-7)

■2000年代(ゼロ年代)以降のアニメにおける世界設定へのメモ

■2008年~2009年の三作品『シャングリ・ラ』『バスカッシュ』『カイバ』では、いわば上層と下層に分断された世界設定用いている。下層世界の住民は貧しく、しかし、最後の一片の良心をもつという清貧なイメージを付与させられるのはよく用いられ、手塚治虫『メトロポリス』などでも用いられているオーソドックスな設定でもある。

■そのクリシェを除いて考えてみた場合、08-09のこの3アニメには、「上下」の対話、または下層のみじめさ以上の嫌らしさも描こうとしている。

■『シャングリ・ラ』では下層世界の住民が下層にとどまることを望み、抵抗運動への非難が描かれていた。今後の進展がどうなるかは不明だが、「くじ引き」によって上層世界へと「選ばれる」システムは示唆的でもあり、そういう管理システムには注目したい。

■『バスカッシュ』では、下層世界の混沌とした感じを描くまでにしかとどまっていないがこちらも期待してみてみたい。

■『カイバ』では、下層・上層を越えたところに「記憶」と要素を介在させて、普遍的な視点を勝ち取ろうとしている。また、記憶が共有物(公的資源?)となって、全存在がネットワーク化され平等になったはずの世界にも下層・上層が存在している。この点ももう少し考えてみる必要があろう。


テーマ:シャングリ・ラ - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/04/25(土) 21:37:30|
  2. 理論
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『東のエデン』(第三話):世界を憎むことと責任から逃避すること

『東のエデン』(2009.4-、神山健治監督、フジテレビ系列)

■現代社会において、われわれは世界(もしくはセカイ)を憎んでいる。どうしてこうなったのか?どうしてうまくいかないのか?もしくは、もっと自分はやれるはずだ。どうしてだれも認めてくれないのか?

■しかし、地位を得て、他者からの承認を得て、そこに責任がついてきたときに自分はどう行動するのか?やりがいがあると思うのか、正義をなそうとするのか?それとも権利を乱用するのか、近藤刑事のように正義をなそうをとしながらも飲み込まれていくのか?

社会的立場へのあくまで冷静な眼差しを欠いている世の中。それはまさに日本社会(世界中にも蔓延しているのは確かだが)である。もしくは責任を参政権や人権思想によって、各個人に分散させた社会体制をとる国はまさにこのジレンマを体験している。ありていにいえば責任の押し付け社会だ。

■誰もが地位は欲しいが、責任は負いたくない。その逃避的社会への解答不能ともいえる現状に対する批判力をもったフィクション(アニメ)として、三話までは評価できる。



テーマ:東のエデン - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/04/24(金) 01:13:43|
  2. 東のエデン
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『東のエデン』(第二話まで):高貴なる義務と社会参加

『東のエデン』(2009.4-、神山健治監督、フジテレビ系列)

■『東のエデン』は現在第二話までの放送だが、そのフィクション性を用いた社会批判は痛烈である。それには、本作のキーワードの一つである「高貴なる義務(ノブレスオブリージュ)」がキーとなり、現代の戦争(テロ・戦争)とも密接に関わってくる。「私たちがある事態に取り掛かるときにはすでに手遅れだ(『機動警察パトレイバー』)」のように、現代戦争・テロは私たちの理解を超えてしまっているのかもしれない。しかしながら、現実的にはそれに「参加」してしまっているが、実体をとらえきれないために対応することができないでいる。また、私たちの生活する2009年の世界は、捉えどころなく、一体に何から手をつけてよいのか途方に暮れる状況だ。そして、社会に参加する回路すら失われてしまっているかのようだ。

■『東のエデン』は、アニメというフィクションそしてゲームという設定を用いながら、現代日本人の誰もがプレーヤー(参加者)であり、そして「高貴なる義務」を負っていることをアレゴリカルに表現している。まさに、日本は「(極)東のエデン(楽園)」なのだ。

アニメの中のプレイヤーとともに「高貴なる義務」について考え、悩み、快感そして恐怖を覚えることで、もう一度社会への眼差しを手に入れることができるかどうか、私は、その実験が『東のエデン』で行われるのではないかと期待している。


テーマ:東のエデン - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/04/20(月) 18:26:27|
  2. 東のエデン
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『ハチミツとクローバー』:青春論と時代背景

『ハチミツとクローバー』 (カサヰケンイチ監督、フジテレビ系列、2005.4-9)
『ハチミツとクローバーII』(長井龍雪監督、フジテレビ系列、2006.6-9)

青春が終焉してしまった現代(三浦雅士)。それにも関わらず、青春をテーマにした意欲作である。ただし、この作品内の青春はどこか冷めている。常に主人公たちが熱い言葉(くさい言葉)を吐いた場合には、それを冷却させるためのコマ(主にギャグ)が挿入される。何かを積極的に肯定するのではなく、否定形によってしか語ることのできないネガカルチャー(鈴木謙介)時代の青春を、ネガを通り越しさらに180度回転させ、最終的には1周回ってポジに語ろうとする姿勢が貫かれている。

■また、2000年代前半のいわゆる就職氷河期を色濃く反映した作品でもある。就職氷河期世代への痛烈な批判とエールが混在している。批判は建築事務所で働く真山の次のメッセージで表現される。

もし好きな女に何かあったときにさ。なにも考えずにしばらく休めっていえるくらいは、、なんかさ(お金を)持ってたいんだよね(ハチミツとクローバーII、第5話)

これはほろ苦い結末へのと接続する前フリになっている(この後に真山本人が「正直、くさかった」と述べる)。他方で、エールとしては「自分探し」という臭い行動を積極的に評価しつつ、「何かを見つける」、もっと正確には「すぐには何も見つからない」ことに気づくというシーンを用意している。

■時代のリアリティを可能な限り解毒しながらも、一部のメッセージを込めておく点で「伝えるアニメ(原作は漫画だが)」としての機能を保留している点が秀逸だった。


テーマ:ハチミツとクローバー - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/04/20(月) 17:23:57|
  2. ハチミツとクローバー
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批評によって「アニメをより面白く」がモットーです。
色んな角度からアニメを観る試みをしたいと思っています。

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