現代アニメ批評-アニメをさらにおもしろく-

現代アニメのストーリー面を主に批評していくブログです。自分の着想や視角をアニメーションをよりおもしろく観る「補助線」として書き綴っていきます。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「ポスト・エヴァ」の隠れた名作:『ペルソナ トリニティ・ソウル』

『ペルソナ トリニティ・ソウル』(松本淳監督、2008年)

■先月、放送終了した全26話構成の『ペルソナ』だが、ゲーム原作といってもその世界観の一部を継承しているだけで、アニメーションオリジナル要素が強いことから、独立した作品としてみなしてよいと思う。先に感想から書くと、最初から最後まで物語的に練られた作品であった。ついつい(?)見直してしまった。オススメだ。

■「ポスト・エヴァ」的なセカイの解釈にまでいたるストーリーの流れ方はまとまっていて、自己の「ペルソナ」をどう解釈していくか、または意識とセカイのつながりに関しての解釈も興味深い。実は少しネタバレだが、『RD潜脳調査室』を先に視聴した(現在も同作は放送中だが)私には、少し新鮮味には欠けた点はあった。しかし、それに「家族」の要素をうまくかけ合わせてきた点がドラマとしての印象度を増している。端的に、それは最終話最後のエンディングロールが流れるシーンに凝縮しているといえる。

■厳選された限られた主人公側のキャラクターを丁寧に描き出したことにより、素晴らしいドラマを作れたと思う。ただし二点だけ問題がある。まず、敵としての「マレビト」側のキャラ描写が弱いということ。そして、最近の流行りである学園モノとしての安穏とした空間の描写は少なかった。後者の好悪は個人の趣味ということだろうが、個人的にはこのままでよかったと思う。ただし、それでは視聴率が取れないのが現代アニメの問題点であるのだが・・・

★視点・補助線
・「セカイ」と意識の関係性をめぐる解釈。
・最終話エンディングテーマまでの線引きの巧みさ。
・学園モノの「のほほん」感、「同窓会的ヌルさ」の欠如をどう評価するか?


テーマ:ペルソナ~トリニティ・ソウル~ - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2008/07/09(水) 01:00:46|
  2. 伝えようとするアニメ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コトバからキモチへ、想像を現実につなぐ:『キングゲイナー』

『Overmanキングゲイナー』(富野由悠季監督、2002~2003年)
HP:http://www.wowow.co.jp/drama_anime/king/

■本作は、明るい富野作品として知られる。つまり、終盤でのメッセージ性のある「死」以外は、「死」の匂いは薄められており、また「敵を倒す」や「戦争する」ことが目的なのではなく、「エクソダス」をテーマとしている点も特徴的だ。

■当然、この「エクソダス」がキータームとなる。そして、エクソダスを逃亡としてネガティブに捉えるのではなく、新たな一歩、希望あふれるものとして伝えている点に注目したい。コトバを感じられればチカラであるとオープニングテーマでも歌われているが、そのまま本作内部にこのメッセージが埋め込まれている。

■特に印象的であったのは、アニメやゲームを悪魔視する現代メディアなどに対する批判と同時に、視聴者(アニメファン)に対する強いメッセージだ。つまり、2007年には顕著だったが、残虐殺人事件が発生したらそのアニメ・ゲームが非難される現状に対して、そして、一般的に自分の(想像)世界の中で遊ぶのが好きなアニメファンの性格に対してのメッセージだ。それは、「アニメやゲームのフィクション」も現実へとつなげる想像力を持っていればチカラとなるというものである。

■最近の「~ねばらない」「~てはならない」型の窮屈な現状から、ポジティブにエクソダスを実行することへの勇気を感じさせてくれる良作であった。

テーマ:アニメ - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2008/04/06(日) 02:17:42|
  2. 伝えようとするアニメ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

浮き立つ「言葉」:富野由悠紀作品、Zガンダム、キングゲイナーなど

『Overmanキングゲイナー』『機動戦士Zガンダム 劇場版三部作』(富野由悠季監督)

■最近、Zガンダムの劇場版三作を続けて観る機会があり、またキングゲイナーも現在二話まで視聴した。その中で富野作品における「言葉」にやはり注目せざるをえなくなった。

■独特の言い回しをキャラにさせる印象が強い富野作品だが、アニメーションでは画像が実写と違い単純化されているために言葉がより鮮明に響いてくる特徴を持っている。つまり、実写映画やドラマでは、俳優の細部までが画像に映し出されるので、彼らの演技(無言、セリフつき含めて)によってシーンが紡がれていく。それに対し、アニメではキャラは背景の中に遠目に映し出してもよく、アップになることが少ない(ガンダムなどはロボットシーンも多いため)。そういう中でセリフが鮮明に活きてくるのだ。

■映画作品よりも、言葉のチカラを引き出すのはアニメ作品の方が優れているかもしれず、それをうまく利用しているのが富野監督であり、彼自身の独特のセリフ切りなども印象深い響きを持って伝わることになる。

テーマ:映像・アニメーション - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2008/02/09(土) 01:33:15|
  2. 伝えようとするアニメ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

『ぼくらの』の椅子:語りかけるアニメ(3)

『ぼくらの』(森田宏幸監督、2007年7月現在放送中)
公式サイト
※加筆・修正し再掲載

■今まで『ぼくらの』の中の、その「痛さ」や戦闘における「生と死」の表現について書いてきた。今回は、それらを結びつける象徴物について書きたい。それは、本作品の中で重要な意味をもつ「椅子」についてである。

■簡潔に説明すると、ロボット?「ジアース」の操縦桿である「椅子」はそれぞれのパイロット(主に子供たち)の慣れ親しんだ椅子である。それは勉強椅子や座布団、そしてロッキングチェアーなど様々だ。この「椅子」に座って登場人物は、操縦すると死亡するわけだから、まさに自らの命を賭け闘うのだ。

■さて、この作品の中で「椅子」とは何を示しているのだろうか?それは、その人物にとってかけがえないのない「場」であり、そこに存在したという証である。ありふれた椅子も、そこに座る人間にとっては、交換不可能な「場」であるのだ。

■『ぼくらの』は、ロボ戦闘モノでありながら「死」に大きな意味がある点が従来のロボアニメと一線を画している。それを演出する道具が椅子であり、そのメタファーだといえるであろう。

■この意味で椅子は、まさに自己アイデンティティと関わっている。自分がありふれた存在だと感じることで虚無感に襲われたり、ストレスを感じたりするのが現代社会だ。なぜそんなストレスを感じるかというと既に「世界の広さ」を情報媒介物によって簡単に知りうる現在、「自己のちっぽけさ」や「ありふれた感じ」を知ることは辛いのだ。

■思春期はその「現実」と自己定義の相克であるといってよいだろう。『ぼくらの』では、子供たちが自己が結局は無力でちっぽけだが唯一存在だという、この相克する事実を受け入れて死んでいくことをテーマにしているといえるだろう。

■ちなみにテーマ曲の歌詞にも、かけがえのなさ(交換不可能性)が表現されており、そこにも「椅子」は登場している。

・ブログ内関連記事:『ぼくらの』(1)~(5)
アニメが語りかけるとき:『精霊の守り人』、『地球少女アルジュナ』(1)~(2)

テーマ:映像・アニメーション - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2007/07/27(金) 23:28:43|
  2. 伝えようとするアニメ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

アニメが語りかけるとき(2):『精霊の守り人』『地球少女アルジュナ』など

続き…
■『精霊の守り人』は、女用心棒バルサがチャグムを教育するという側面以上に、文化人類学者である原作者の知見から構想された設定や背景などによる語りかけが強い。これは、アジアを基調としたファンタジー的世界観に深みを持たせることに成功してている結果である。そこでは、近代化された都市生活では失われたか、忘れられた文化風習について精緻に描かれている。そこで視聴者は、そういった生活世界の方が多様性があり複雑であることを感じ取ることができる。

■一方で、『地球少女アルジュナ』は、地球環境の悪化と現代社会について、神話的世界観を用いつつもリアルに伝えようとする。今のわれわれが存在する地平について、アニメーションを用いて「リアル」に伝えようとするのだ。

■両者ともに「気づき」が仕掛けられているが、その寄って立つ表現の源泉は間逆である。つまり、現代世界を主人公の生活世界とするか、前近代的といわれる世界を表現の出発点とするかである。これにはどちらも一長一短あり、どちらが優れているかを判断することは不可能だ。

■『精霊の守り人』では失われた風習などを取り扱うが、その「よさ」をどうわれわれが感じ取り、自身の生活の思考の糧とするかは難しい。『アルジュナ』では、現在の生活空間の中で忘れ去られたものを確認する作業がより明示的だ。

■他方で、『アルジュナ』は視聴者に説教くささを感じさせるという点もある。『精霊の守り人』は童話的な成功により、説教くささはあまりなく、視聴者の感性に直截的に響くものをもっている。

ブログ内関連記事:
「大人」を描くアニメ:『精霊の守り人』(1)

テーマ:精霊の守り人 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2007/07/18(水) 04:50:13|
  2. 伝えようとするアニメ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
前のページ 次のページ

プロフィール

anicri

Author:anicri
批評によって「アニメをより面白く」がモットーです。
色んな角度からアニメを観る試みをしたいと思っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 映画ブログ アニメ映画へ にほんブログ村 アニメブログ 新世紀アニメへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ サブカルチャー論へ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。