現代アニメ批評-アニメをさらにおもしろく-

現代アニメのストーリー面を主に批評していくブログです。自分の着想や視角をアニメーションをよりおもしろく観る「補助線」として書き綴っていきます。

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『戦場のヴァルキュリア』:フィクションと死

『戦場のヴァルキュリア』(山本靖貴、2009年)

■『戦場のヴァルキュリア』、ついに終わったが、やはり「戦場」を冠する資格のないアニメに終わった。つまり、フィクションだからと言って「人の死」をコケにし続けたことで、ストーリーそのものも平衡感覚を欠いたものとなってしまった。それが各所のキャラクターの「薄さ」に繋がっていた。

■キャラクターに一種の独立したオーラ(一回性のアウラ?)が備わる時に、その作品の登場人物に惹かれるのであり、主人公グループだから戦場でなんでもアリ的な展開になってしまうとストーリーの締まりがなくなってしまう。逆に「イサラの死」も無駄に話数を消費しただけで、重みのないものとなってしまった点も象徴的だろう。

■今クールはキャラクターの心理を丁寧に描いた作品(『青い花』、『東京マグニチュード8.0』(の終盤だけ))とか、があっただけに、『戦場のヴァルキュリア』でもそこの点を期待したのだが…。
  1. 2009/09/27(日) 03:06:54|
  2. 戦争とアニメ
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『東京マグニチュード 8.0』:最低のファンタジーとアニメの敗北宣言

『東京マグニチュード 8.0』(現在、第3話まで視聴)

■『東京マグニチュード8.0』に絶望した。本作は題名のとおり「地震」を扱ったアニメであり、「ファンタジー要素」を取り除き、リアルを追求した作品とのことだ。ご丁寧に各話の最初に、「リアリティを追求」などの説明文も入るくらいである。

■これを「アニメ・リアル描写」の新次元だとも捉える方もいるだろうが、私はそうではない。できの悪い政府広報アニメか、平和教育アニメの要素が強い。以下、理由を述べたい。

■まず、リアリティを追求したのは「技術面」だけで、心情描写などは非常に薄っぺらで、主要人物以外は「障害物以外の何者でもなく」描かれる。これは「実際の」災害時に大切な人々の協力関係や連帯などを、本アニメは想定せず、それは「リアル」の埒外に置かれているのだ。とりあえず、第3話までなので、これに関しては以降の展開に期待したい。

■また、技術面のリアリティも疑わしい。OP曲中で破壊される、渋谷、東京大学、東京タワーなどの破壊はそれぞれの象徴するイメージと結びついている。たとえば、繁栄、権威などであり、東京タワーは「東京」そのものであろう。そして、作中ではレインボーブリッジなども崩壊する。しかし、いつまで経ってもフジテレビ社屋は傷一つないではないか・・・。むしろ、これはかなりの「ファンタジー」だ。ネット上のチェックがまだだが、おそらく多くの人が突っ込みを入れている点であろう。

■私が「アンチ・フジ」で、こういうことを意見するわけではない(実際にノイタミナ枠は良作が多い)。あくまで、フジの無傷である描写がこのアニメの出来の悪さに関連していると思うのである。それは、のっぺりとした単純図式、絵だけは凝っているが「見せよう」としすぎで、お腹いっぱいな感じになる画面構成などと通底している。つまり、目一杯で作っていて、表現の隙間や余裕がないのだ。逆にいえば、フジテレビ制作だから「自社屋を倒壊させるのはまずいだろう」的な考えが、おそらくはサッと通っているのだ。なぜなら、第3話最後の予告編前シーンで光り輝く無傷のフジテレビが映し出されており、「真面目に」災害を扱った態度とは思えない。そこでは、「不真面目」そのものがダメなのではなく、「真面目に作ろうとしているフリ(テーマやリアリティの追求という語)をしていて、真摯に表現していない」ことが救えない点なのだ。

テーマ:アニメ - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/08/08(土) 01:18:10|
  2. アニメ産業
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『けいおん!』の遺したもの

『けいおん!』(山田尚子、TBS系、2009.4-6)

★「温かコミュニティ」アニメの到達点、その最終話(番外編)が示すものは?

■先日、京都アニメの人気アニメ『けいおん!』が終了した。第二期を待つ声も多いようだが、第一期ですでに「温かいコミュニティ」を描くアニメとして十分画期的アニメとなった。

■番外編と題された「最終話」後の話では、まさに番外としての『けいおん!』が描かれた。そこでは、各登場人物の各個人の悩み・チャレンジなどを中心に描くことで、まさに温かコミュニティを際立たせた構成となった。

■その中でも、りつのラブレター?そわそわ話は、いわば「温かアニメ」では女性教師キャラクター以外にはタブーとされる恋愛的要素を導入したものであった(結果はどうあれ)。また、アルバイトの話や一人旅などは、各個人の個性に焦点を当てたものである。

■この話は以後の温かアニメを暗示するような構造となっている。つまり、「軽音楽部」という共同体以外に彼女たちの別個性が描かれている点である。もちろん、こういうシーンが飛び出すようなアニメも多々存在したが、最後に描かれた「軽音楽部以外の世界」とのつながりへの暗示は、これからのこの種のアニメのヒントになっているのではないだろうか?

■つまり、「戻るべき共同体」は丹念に描きながらも、各自の所属する共同体にも言及されるような複層的な個人を描くという試みである。


テーマ:けいおん! - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/06/26(金) 18:19:01|
  2. けいおん!
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『けいおん!』:温かアニメとしての完成型

『けいおん!』(山田尚子、TBS系、2009.4-)

■『けいおん!』は、いちおうの最終話ということだった。第一話とのリピート効果をうまく使いながら、「はじめ」と「終わり」を主人公ゆいの独り語りによって、彼女の変わらない部分とそして変わったことを明確に表現しきったエンディングであり、ひとつの完成したかたちをみた思いだ。

■特に『けいおん!』は、温かいコミュニティを描くアニメが陥りがちな途中のだらけを生じることなく展開していった。原作も早い展開なのだが、しかし、アニメ製作者側が、アニメとして「温かさ」を繰り返しと変化の中で描ききった点は高く評価されるべきだろう。

■それは、次回が「番外編」としていることに明らかに示されている。つまり、今回で「ゆいの成長とあいかわらずさ」の演出で「最終話」としたことには製作者側の明確な意図があるからだ。


テーマ:けいおん! - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/06/19(金) 19:16:51|
  2. けいおん!
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『夏のあらし!』第11話:大本営発表についての注記

『夏のあらし!』(新房昭之監督、2009.4-、テレビ東京系)

■第11話の『夏のあらし!』では、最初の昭和20年3月10日のシーンで「大本営発表」がラジオ放送された。それについてのメモを記しておきたい。

■あの大本営発表は、
以下、http://www10.ocn.ne.jp/~kuushuu/d200310.htmlより引用


大本營發表(昭和二十年三月十日十二時)

本三月十日零時過より二時四十分の間B29約百三十機主力を以て帝都に來襲市街地を盲爆せり
右盲爆により都内各所に火災を生じたるも宮内省主馬寮は二時三十五分其の他は八時頃迄に鎭火せり現在迄に判明せる戰果次の如し

 撃墜十五機
 損害を與へたるもの約五十機

(引用終わり)
というものであった。

■本アニメでは、最初の「…盲爆せり」までが流され、その後は主人公たちの会話によって部分的にしか聞くことはできない。しかし、その「部分的」というのがアニメの発するメッセージの限界点でもあり、また、別の意味で印象付ける効果を生んでいたともいえる。
もちろん、ポイントは「盲爆された・・・『宮内省の一部』は燃えたが鎮火した」というあまりのもあり得ない発表だ。実際には片や、確実に何万人の人々焼け死んでいることはこの時点でわかっているわけだが、それは報道されない。この権力のおぞましさの本領そして戦時下体制の醜悪さが凝縮されている文言は、ほとんどセリフでかき消されている。

■私は、その部分を「はっきりアニメでも流すべき」という意見ではない。むしろ、セリフによってかき消された方が効果的だったと考える。

■前にも書いたが、『夏のあらし!』は原作を超え、そのアニメ版はさらに「限界」を目指している。


関連記事:『夏のあらし!』第6話まで:表現の不可能に迫る

テーマ:夏のあらし! - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2009/06/16(火) 16:20:27|
  2. 伝えようとするアニメ
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批評によって「アニメをより面白く」がモットーです。
色んな角度からアニメを観る試みをしたいと思っています。

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